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〒630-8115 奈良県奈良市大宮町3丁目5-35 アクティブ宝泉ビル6F

成田行政書士事務所

許可取得の要件について(誠実性、財産的要件、拒否事由)

請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがある者でないこと

    建設業許可を取得するためには、請負契約の締結やその履行に際して、不正又は不
 誠実な行為をするおそれがある者がいないことが必要です。


 建設業法第7条第3号

 法人である場合においては当該法人又はその役員若しくは政令で定める使用人
が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関
して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。



  1 趣旨
    
   建設業の営業は、他の営業と異なり受注から引き渡しまで長期間を要し、ま
た前
  払い等による金銭の授受が慣習化していること等により、いわば信用を前提
として
  行われるものであって、請負契約の締結等にあたって、不正又は不誠実な行為をす
  るような者に営業を認めることはできず、許可申請者についてそのおそれがある場
  合はもちろん許可申請者の役員等営業取引に重要な地位にある者についても、その
  おそれが明らかな者がいる場合には、許可を与えないとしたものです
  (「解説P100」)。



2 語句の解釈

 ア 「役員」には非常勤役員も含まれます
 イ 「政令で定める使用人」とは、支配人及び支店又は営業所(常時請負契約を締結
  する事務所)の代表者をいいます。

 ウ 「請負契約に関して不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際における詐
  欺、脅迫、横領等法律に違反する行為をいいます。
 エ 「請負契約に関して不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力によ
  る損害の負担等について請負契約に違反する行為をいいます。



3 運用
 
 ア 請負契約に関して不正又は不誠実な行為を行ったとして、許可の取消しを受
ける
  ことがあります。従って、逆に、許可を受けて継続して建設業を営んでい
た場合は
  一般に不正または不誠実な行為をするおそれがないと推定されます
ので、この要件
  に該当する者(=不正又は不誠実な行為をするおそれが明らか
な者でない)として
  取り扱われます。

 イ 建築士法、宅地建物取引業法等で不正又は不誠実な行為を行ったことにより免許
  等の取消処分を受け、その最終処分の日から5年を経過しない者は、原則
として本
  号の要件に適合しないものとして取り扱われます(許可が取得できな
いこととなり
  ます)。

 ウ 上記の役員等が暴力団の構成員である場合又は暴力団による実質的な経営上
の支
  配を受けている者である場合は、この要件に該当しないものとして取り扱
われます。


【私見】

   暴力団を建設業から排除することの必要性については、誰にも異論がないこと
  と思います。しかし、現在のところその排除は通達による運用によって
なされてい
  ます。法的根拠を明確にする意味からいっても許可の要件として
明確に規定するべ
  きと思います。因みに、
産業廃棄物処理業の許可要件に「暴力団員でない者」とい
  う要件があります(廃棄物の処理及び清掃に関する法
律第14条第5項第2号ロ)

  
 

請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

   建設業許可を取得するためには、一定の資金の確保が必要となります。

   (一般建設業の許可取得の財産的要件)

建設業法第7条第4号

 請負契約(第3条第1項ただし書の政令で定める軽微な建設工事・・・工事一
件の請負金額が500万未満等の許可が不要な工事・・・に係るものを除く。)
を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかでないこ
と。


1 趣旨

   建設業の営業を行うには、資材の購入、労働者の募集、機械器具の購入
等工事の
  着工のためにかなりの準備資金を必要とし、そのために適切な営
業活動を行い、ま
  た、建設工事の適正な施工を確保するためには、その営
業にあたってある程度の資
  金を確保していることが必要とされます(「解説P1
02」)


2 運用


   次の、(ア)、(イ)又は(ウ)に該当する者は、倒産することが明白である場
  合を除きこの要件に該当するものとして取り扱われます。

  (ア)自己資本の額が500万円以上である者

    ※ 自己資本とは
      法人である場合は、貸借対照表における純資産合計の額を
個人の場合は期首
    資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計
額から事業主貸勘定の額を控除し
    た額に負債の部に計上されてい
る利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた
    額
をいいます。
    (イ)上記(ア)の自己資本の額に相当する資金を調達する能力を有すると認めら
    れる者

  (ウ)許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有
する者


3 実務
 ア この要件に該当するか否かは、既存の企業にあっては、許可申請直前の決算期に
  おける財務諸表により、新規設立の企業にあたっては創立時
の財務諸表によって判
  断されます。

   許可申請書には建設業法に定められた財務諸表を添付しますが、確定
申告書に添
  付された財務諸表の提示が求められる場合もあります。

 イ 「資金を調達する能力を有する」ことは、金融機関からの500万円以上の残高が
  あることを証明する書類等を添付することによって証明し
ます。
   なお、自己資本額が赤字の場合は、「その赤字分+500万円」以上の
残高があ
  ることを証明する書類が必要な場合があります。

 ウ 更新許可申請の場合は、通常、上記2−(ウ)に該当しますので、残
高証明書等
  の添付は必要ありません。

 エ この要件に該当するか否かは、許可を行う際に判断されるものであり、
許可をし
  た後にこの要件に該当しないこととなっても、直ちに許可の効
力に影響を及ぼすも
  のではありません。

 (特定建設業の許可取得の財産的要件)
 建設業法第15条第3号

 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額
  ・・・8000万円・・・以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を
  有すること。

 1 趣旨
   特定建設業者は、一般に多くの下請負人を使用して建設工事を施工するもので、
  特にその経営内容が健全であることが求められること、下請負人
保護のために特別
  の義務が課されていること及びその支払金額も一般に相
当多額なものであること等
  により一般建設業の許可の要件に加重されまし
た(「解説P146」)。
 
 2 運用

     次の、(ア)から(ウ)までのすべてに該当する者は、倒産することが明白であ
  る場合を除きこの要件に該当するものとして取り扱われます。

  (ア)欠損の額は資本金の額の20%を超えていないこと
   ※ 欠損の額とは
     法人である場合は、貸借対照表における繰越利益剰余金合計が負である場合
    に、その額が資本剰余金、利益剰余金及び任意積立
金の合計額を上回る額を、
    個人の場合は、事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の
額を控除した額
    に負債の部に計上されている利益留保性の引当金
及び準備金の額を加えた額を
    上回る額を
いいます。
     
   ※  
資本金の額とは

          法人の場合は、株式会社の払込資本金、持分会社等の出資金額を個人の場
    合は、期首資本金を
いいます。

  (イ)流動比率が75%以上であること
   ※ 流動比率とは
     流動資産を流動負債で除して(割って)得た数値を百分率で表したものをい
    います。


 (ウ)資本金の額が2,000万円以上、自己資本の額が4,000万円
以上である
   こと

        自己資本額の定義は、一般建設業の許可要件を参照のこと。

 3 実務
     ア この要件に該当するか否かは、既存の企業にあっては、許可申請直前の決算期
    における財務諸表により判断されます。

    但し、法人の場合、財務諸表上では、資本金の額に関する要件を満た
さない
   が申請日までに増資を行うことによって要件を満たすこととな
った場合は、「資
   本金」については要件を満たすものとして取り扱われま
す(許可申請直前の決算
   期の財務諸表では、資本金額が1,000万円、
自己資本額が4,000万円の
   場合、許可申請までに資本金を1,00
0万円増資して2,000万円とすれば
   この要件を満たすということ。

        個人の場合は、増資ということがありえませんのでこの取扱いはされません)
   。
許可申請書には建設業法に定められた財務諸表を添付しますが、確定申告書に
   添付された財務諸表の提示が求められる場合もあります。


    イ 新規設立当初の法人の場合は、通常、資本金額=自己資本額となりますので、
   資本金が4,000万円以上であることが必要となります。


  ウ 創業直後の個人の場合は、金融機関からの4,000万円以上の残高
があるこ
   とを証明する書類等が必要な場合があります。


  エ この要件に該当するか否かは、許可を行う際に判断されるものであり、
許可を
   した後にこの要件に該当しないこととなっても、直ちに許可の効
力に影響を及ぼ
   すものではありません。



許可申請書等に虚偽の記載等がないこと、過去において一定の法令違反した者等でな
 いこと。


  許可申請書等に虚偽の記載があった場合や、一定の事由に該当する場合は許可が拒否
されます。

 

建設業法第8条

 
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとするものが次の各号のい
ずれか(許可の更新を受けようとする者にあっては、第1号又は第7号から第1
1号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中
に重要な事項についての虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けて
いるときは、許可をしてはならない。

                          ・・・各号省略・・・

 

1 趣旨
 (1)許可申請書等に虚偽の記載等があった場合は、許可行政庁の審査を不可能とし
   又はその判断を誤らせること等となりその結果は極めて重大であ
るので、許可の
   拒否事由とされました(P106)。なお、この虚偽記載等
は故意の場合はもち
   ろん、過失の場合であっても許可の拒否事由とされて
います。
 (2)許可申請者等が社会制度上等において、建設業者としての適性を期待し得ない
   一定の要件に該当している場合も、許可の拒否事由とされました(P
106)

2 運用

 (1)許可申請書中に虚偽の記載等があり、許可行政庁の判断を誤らせて許可を受け
   たことが判明した場合は、その許可は取り消されます(建設業法第
29条第1項
   第5号)


                                                                






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